皆さん、こんにちは
ガラスの写真館の ヒロ です。
アマチュアが使うカメラへ
写真史の草創期、1850年代に湿板写真(しっぱんしゃしん)とよばれる写真技法が登場ししました。
湿板写真はそれ以前の銀板写真(ぎんばんしゃしん)とも呼ばれるダゲレオタイプに比べ画質が向上しました。湿板写真は江戸時代に日本にも伝わり、坂本龍馬など今も有名な幕末の人々も写真に納まっています。
この頃は写真は一部の限られた人、プロや軍のカメラマンなどしか撮影ができず、一般の人にはとても手に届くようなものではありませんでした。というのも、撮影に使う荷物が多く、薬品は危険で、お金もとてもかかりました。カメラもプロ用の少量生産やオーダーメイドが主でした。
ところが、ガラス乾板の登場で状況は一変します
危険な薬品や暗室の持ち運びが不要になり、生産も工場で行えるようになってコストも下がってきました。そうすると、一般の人々に写真撮影が広がり始めました。これがアマチュア写真の黎明期です。
ガラス乾板で撮影をする人が増えると、カメラの需要も高まり、様々なカメラが作られていきました。
では、ガラス乾板が使える時代にはどのようなカメラがあったのか少し深掘りしていきます。
年代による種類
現在乾板写真を撮影するには、基本的に100年前後前に作られたビンテージカメラを使います。乾板写真はフィルムカメラが出てくる前のカメラ、1890〜1930年代が最も盛んな時期となっており、この時代に多くのカメラが生産されました。
古くは木製が多くイギリスその後、アメリカ、ドイツなどの国でも生産されました。年代的には1890年〜に乾板用カメラが一般に広まっていますが、乾板用でなく、それ以前の湿板用のものでも規格が合えば撮影可能です。湿板用はホルダーが薬品で汚染劣化している可能性があるので、購入する場合は注意が必要です。
また、比較的新しいカメラでもいわゆる大判カメラであれば4×5インチなど使うことは可能です。
乾板を使えるカメラの年代は、意外と幅広いと思いませんか?
形による種類
この時代あたりのカメラは大きくボックスカメラ、フォールディングカメラに分かれ、乾板という感材が持ち運びが容易になったことにより、持ち運びを前提とした製品が増えていきます。
ボックスカメラはその名の通り、箱型のカメラでカメラ本体は木箱、ピントはレンズそのものを前後させることで合わせる仕組みでした。その後、ピントをレンズがついている箱の前面を前後する仕組みになり、箱の伸び縮みは蛇腹を用いることになります。
こちらが蛇腹を使ったボックスカメラで、明治時代の日本のカメラの草創期のものです。

最終的にレンズ付いている面が小型化し、レンズはレールを前後するようになり、蓋とレールが一体化した物を閉めることで薄く持ち運びできるフォールディングカメラとなったと想像できました。素材も箱の木製だったものが、レールや精密な動きや頑丈さが必要となり金属製になっていきます。
見かけでは分かりにくいですが、左の木製から右の金属製にシフトしていきパーツがガッチリしています。

こうした変化を知ると、カメラそのものから歴史を感じられるのも面白いところです。
一部のボックスカメラは箱の箱の中にミラーを入れて大型の一眼レフになっているものもあります。
ボックスカメラからフォールディングカメラまで紹介しましたが、そのフォールディングカメラも暫くして35mmフィルムが台頭してきてからは小型化に飲まれ縮小しました。その流れとは少し離れたところに大判カメラとして近年まで残り続けた組立暗箱というものがあります。組立暗箱は木製のフレームに蛇腹がついただけというシンプルな構造のカメラで、レンズも様々なものに対応できたため、明治の終わり頃から昭和の終わりまで長くにわたり第一線で活躍しました。
フレームに蛇腹だけというシンプルな作りの組立暗箱

カメラがプロから一般の人に広がり始めたアマチュアの黎明期。様々な形のカメラがあって見るだけでとても面白いと思います。さて、こういったバリエーションの中から選んでいくことになります。
乾板初心者にオススメのカメラ
小型のフォーマットでは、1920年以降の海外製金属製モデルがオススメだと思います。代表的なものに、Voigtlander、Zeiss Ikon、Kodakなど今でも名前が残るメーカーなどがあります。堅牢で、蛇腹も強く写りも良いです。操作もフィルム時代のスプリングカメラにつながるところがあるので、そのあたりを触ったことがある方はよい選択肢になると思います。この時期のカメラには国内産の小西本店(現コニカミノルタ)のLilyやIdeaなど生産されましたが、品質は発展途上で、多少のガタがありますし蛇腹はとても弱い印象です。さて、一方で1920年より前のものはというと、カメラ本体が木製になってきて少し構造は弱くなりますが、利点として軽いというメリットがあるように感じます。そういった時代のものをあえて選択するのもよいでしょう。
小型でなく大きなフォーマットであれば組立暗箱がオススメです。中古も多く出回っており使い方などの情報が多く、レンズの選択肢も多種多様です。
今までは中古前提でしたが、実は新品で手にはいるカメラもあります。利点は何と言っても中古のように不具合が心配ないこと。組立暗箱カメラは今でも海外では生産されており、個人輸入かつレンズは別途となりますが手に入れることができます。また、小型のものは国内のあかつき湿板さんによりボックスカメラが販売されており、大名刺判、4×5インチでこちらはレンズ付きですぐに撮影可能です。
色々記載しましたが、私としては見た目のお気に入り具合で決めるというのがいいと思っています。やはり好きなカメラをゆっくり眺めて、じっくり操作して撮って、写りにしみじみ満足する。その一連のプロセスが乾板の良さだと思うからです。
どうでしたでしょうか?
今回はガラス乾板写真を撮影するカメラにフォーカスを当てました。
カメラ選びをしている中で「これは乾板に使えるの?」「このカメラはどう?」と迷うことがあれば、お気軽にご相談ください。


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